STORY



あの時届かなかった君の声を、今度は僕が届けよう


寂れたアパートの一室、その小さな部屋には、ある少年が暮していました。
彼は「人魚姫」が大好きで、絵本がぼろぼろになるまで、何度も何度も繰り返してはそのお話を読んでいました。
けれど彼は、ずっと思っていたのです。
こんなに心優しい人魚姫。最後は泡になって消えてしまうけれど、もしも王子様と想いが通じ合っていたならどうなっていたのだろう、と。

それから数年後。童話作家になった彼は、ひとつの物語を紡ぎ始めます。
それは、幼い頃何度も想像した物語。
王子様と結ばれ幸せになる、人魚姫のお話でした――



私の愛する王子様。
痛む足を引きずって、私は貴方に会いに行きます。
いつか私に振り向いてくれると、信じて。